君が大好き、ただそれだけ。



昼下がりの小さなメモリー



思い出すのは、歪んだ愛憎に巻き込まれてなどいなかった、あの頃の幸せな日々―――――・・・。


ぽかぽか陽気の気持ちいい、ある日の昼下がり。
超高級マンションの一室・・それが、意中の彼女の住まい。
俺は、そこにいた。


の寝室のベッドの上。
2人でゴロゴロ、寝そべりながらのんびりタイム。

はベッドヘッドに背中を預けて読書中。
俺はが何も言わないのをいいことに、の膝を占領中。

何て言うか・・至福、だよね。


「ねぇ。」
「何?リョーマ。」
「ぶっちゃけ、大好きなんだけど。」
「ありがとう。昨日も聞いたよ。ていうか、ぶっちゃけってこんなに頻繁に使う言葉だったっけ?」
「だって、何度言っても信じてくれないんだもん。」
「信じてるよ。うんうん、私もリョーマが大好きだ。」
「それ真田さんにも言ってたじゃんっ」
「だって弦ちゃんも好きなんだもん。」
「・・・、それ、英語で言ってくれる?」
「Why?」
(訳・どうして?)
「いいからっ!」
「T like you.」
(訳・好きだよ。)
「ほらっ!!」

勢いよく身を起こしたリョーマに、は胡乱げな眼差しを向けた。

「Ryoma・・T knew that you were stupid,
but did not know that your brain was out of order.」
(訳・リョーマ・・バカだとは知ってたけど、頭がおかしいとは知らなかったぞ。)
「・・・、それものすごく失礼だよ。ていうか、もう日本語でいいよ。」
「あ、そう?」

はくすりと笑った。

「それで?どうしたんだよ一体。ほらって何がほら?」
「likeって言ったじゃん!それがほら!」
「likeの何が悪いんだよ。」
「俺はloveだもん!」
「知ってるよ?」

あっさり返され、さすがのリョーマも目を見開いた。

「・・へ?」
「だから知ってるよー、って言ってんの。
リョーマが私のことを女として愛してくれてることくらい、アメリカ時代からずっと知ってる。」
「・・初耳。」
「言ってないからね。」

のほうが一枚上手なのは、いつものこと。

「じゃあさ、どうして返事してくれないの?は俺のこと、嫌い?」
「ううん。そんなことないよ。」

はそれまで読んでいた本をパタンと閉じて、ようやくリョーマだけに意識を向けた。

「リョーマのことは大好き。」

微笑む。

「それは友達として?男として、見れない?」
「さぁね。だけど、リョーマと付き合うつもりはないよ。少なくともの在学中は。」
「・・・・どういう意味?」
「そのままの意味。とりあえず、が学校を卒業するまでは誰とも付き合う気はないよ。
・・・忙しいからね。恋人なんかにかかずらってる暇はない。」
「じゃあ、卒業したら付き合ってくれる?」
「その時改めて考えるよ。もしもその時までリョーマが私を愛したままでいてくれたら、そしてその時私がリョーマを愛していたらOK.
だけど人生、何が起きるかわからないからなぁ。」
は、俺のこと好き?」
「好きだよ。」
「love?」
「完全に認めることは出来ないけど、まぁ近いものはあるかな。」
「可能性はある?」
「十分に。」
より大事?」
「それはない。」
「ひどっ!!」
と同じくらい大事、だからね。」

は笑って、上半身を起こしているリョーマの肩を掴み、ゆっくり膝に横たえさせた。

?」
「サービスだよ、リョーマ君。ちなみに、君の最大のライバル・真田弦一郎に膝枕したことはない。」
「・・・マジで?」
「マジで。」
「やったっ」

リョーマは上機嫌での膝に頬を摺り寄せた。
うーん・・・なんか気位の高い猫でも飼い慣らした感じだなぁ。

にとってはこれが普通だが、果たして彼はいつでもどこでもこんな甘えん坊さんなんだろうか?

「・・ねぇー。」
「何?」
「キスしていい?」
「いいよ。ほっぺならね。」
「ちぇっ・・いいじゃん、唇でも。のケチ。」
「ケチって、お前な・・」
「初めてじゃないじゃん。」
「そうだけどね・・」
「ならいいじゃん、させてよ。」
「ダメ。」
「させて!」
「ヤダ。」
ーっ!」
「イヤ。」

頑なな固辞に、リョーマはムッとした。
そして、スイッチが入る。

「・・・そんなに嫌がられると、こっちも傷つくって言うか・・何が何でもしてやりたくなるって言うか。」
「へっ?」

リョーマがムクリと起き上がった。
はずば抜けた本能で感じ取った。・・・これはヤバイ。

「えーと・・リョーマ君?」
「何が何でも、いいって言わせてみせるからね。」

リョーマの手が肩にかかる。
両足を跨がれて背中をベッドヘッドに押し付けられればもう、逃げ道はない。
そしては今更ながら、ここがベッドであることを思い出した。

「・・・・ちょーっとちょっとリョーマ君?おイタが過ぎるんじゃありませんこと?」
「これくらい可愛いものだよ。俺の気持ちを知っててずっと知らんぷりし続けて来たに比べれば全然マシ。」

リョーマはむすっとして言った。
・・・過去の経験からわかる。今のリョーマは何でもする。

リョーマの顔が近づいてくる。反射的に顔を背けた。がら空きになった首筋に、生温かいモノが触れる。

「ちょ・・っ!リョ、マっ・・・やめなさいっ!」
「ヤダ。」
「リョ・・っやっ」
「・・ふーん・・・、いい声出せるじゃん。」
「やめっ・・もっ、ふざけんな・・っ、あ・・っ!」
「・・っ」

リョーマの手が頬に宛がわれ、引き寄せられ、唇と唇の距離が残り1cm程度まで迫ったとき・・・。

ガチャ。

ーっ!!入るよーっっ!!」
「邪魔するぞ、越前が先に来ているはずだが・・・・・・・・・」

「「あ。」」

&弦一郎と・・バッチリ目が合いました。

ぬわあぁぁにをしとるかあぁ
えちぜ―――――んんんっっ!!!
たるんどるわぁぁぁっっ!!!
わー真田さんストップ!!話聞いて!!殺さないで―――――!!
そんなもの無用だ
この戯けえええぇぇえぇっっ!!!

ぎゃ―――――っっ死ぬ―――――っっ!!

弦一郎に追われてピュ〜ッと逃げていくリョーマを見て、は全身で息をついた。

「・・・。」
「何だ、。」
「・・・邪魔してごめんね?」
「邪魔じゃないっ!むしろ助かったっ!!」
「えー?私たち、来ないほうがよかったんじゃないの〜?だってのファーストキスって、リョーマ君なんでしょ〜?」
「うっ・・!あっ、あれは事故!事故だから!!」
「事故でもキスはキスだよう〜。」
「違うっ!!」
「あははっ、ちゃん顔真っ赤だぁ〜」
「・・っ!私をからかうのもいい加減にしろっ!!」
「今のちゃんになら怒鳴られても全然怖くな〜いっ!!!」
っっ!!!」

がそう叫んだのとほぼ同時に。

どぐゎあぁっ!!という何だか妙な音と、ぎゃぁあぁぁ!!というリョーマの悲鳴が聞こえた。

「・・・リョーマ君、落ちたね。」
「バカめ・・!」
「可哀想・・きっと裏拳で吹っ飛ばされたんだよ。」
「それくらい当然だっ!」
「痛そー・・・でも、まぁいいかなっ!私のに手を出した罪は重いし!
まだまだには私だけのものでいてもらうんだからねっ!!」

きゅっと抱きついてくるを抱き締め返し、はふと笑う。

「・・・そういえば、今日だったな。」
「ん?何が?」
「私とリョーマが、初めて会った日が、だよ。」

は微笑んで、の髪を撫でてから。
思い出す。


『Hey, you are a Japanese? T am a Japanese, too.
・・・Do not you become friend if good?』
(訳・ねぇ君、日本人?俺も日本人なんだ。・・よかったら、友達になってくれない?)


思い返せば、あの一言が私達の始まり。

ふと窓の外を見やれば、まるで天使が舞い降りてきそうなほど清々しい青空が広がっている。


ぽかぽか陽気の気持ちいいある昼下がりに思い出したのは、時が流れても色褪せない小さなメモリー


−終わり−





あとがき(という名の懺悔)

わたくし桜 紗魚、今すぐ自爆スイッチ押します。

ぬおーっリョーマが偽者だあぁぁっ!!くうっ、何故こうなってしまうんだ・・っ!!
ていうか最後、リョーマ確かに落ちたけどブラックアウトしただけじゃねぇかい!?
結局ヒロインをモノにしたのはちゃんじゃねぇかい!?

奈穂ちゃん!せっかくのキリ番なのに、初キリ番なのに、こんなショボい夢でごめんね!リョーマ夢なのに、何か他のが出張っててごめんね!
しかも途中、微エロ入ってごめんね!!!

こんなんで良ければ是非是非もらってやってください!!

*この作品はキリ番の2000番を踏んだ紫想奈穂様への捧げ物です。よって、持ち帰れるのは紫想奈穂様に限らせていただきます。

2006,12,25 桜 紗魚


この作品は、「桜色ファンタジスタ」の桜 紗魚様から頂きました。


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