私達ハ、出会ッテハ・・・イケナカッタノカ。
「 出会いとは、悲しきもの 」
雪が吹き荒れる。
私はこの時期が嫌い。
誰一人として私の下へ来てはくれないのだから。
私はこの時期が嫌い。
唯何も無い白の世界が続くだけだから。
私は…。
ざくり、ざくり。
誰かが此方に向かっているようだ。
雪の中を進む足音が次第に近付いてくる。
まったく物好きな者もいたものだ。
何も無い・・・祠しかないこの場所に来るなんて。
白の世界から薄らと浮かび上げってくる人影。
「ふぅ・・・。やっと、着きました・・・。」
その者は男だった。
男と言っても普通とは何か違う。
濃い化粧に、艶やかな着物を身に纏った薬売りの男。
どうせ私の姿など見えやしない。
そう思い祠の中に戻ろうとしたのに。
「貴女が・・・この地の、神・・・。ですかい?」
「?!」
驚いた。私の姿が見える人間がいるだなんて。
「私の姿が・・・見えるの?」
「ええ、はっきりと・・・ね。」
にやりと笑った男に不覚にもどきりとした。
「それで・・・何か私に用があるの?」
「ええ、少しお聞きしたい・・・事が。」
「何?」
「それの、前に・・・少し話を・・・しませんかい?」
「は?」
男の提案に間の抜けた返事をしてしまった。
何を言っているのだ?この男は・・・。
私は神なのよ?その神に向かって・・・話?
「お前は・・・私を莫迦にしているの?」
「いえいえ、貴女が寂しそうな眼で・・・私を、見ますから。」
私が・・・?
「何を言っているの?寂しい?そんな訳ないじゃない。」
「どうして。そう・・・言えるんで?」
「私は、この地に100年も一人でいるのよ?寂しい訳ないわ。」
「年月など・・・関係ない。と私は、思いますがね。」
真っ直ぐ見つめられる。
「っ。」
何かが怖くて眼を逸らす。
何故?神でさえも怖いと感じてしまう。
この男は何者なの?
「ふふ、お前は面白い男ね。」
「いえ、そんな事は・・・ありませんぜ。」
「それで、私に聞きたい事があったのだろ?私に分かる事なら答えてあげる。」
「それは・・・有難い。実は・・・。」
私は、男の言葉に驚いた。
何故?何故、その名前が?
「貴女の兄。氷室神が・・・今、何処に、いるか知らないか?」
「兄は・・・兄、は。」
思い出したくも無い過去。
忘れたいだけの過去。
ふわり、と。
瞬時に薬売りの男に抱き締められているのだと気付いた。
「何をして?!」
「辛いでしょうけど・・・思い出して。」
「っ・・・あっ。」
兄は・・・兄は・・・兄は・・・。
逃げて、逃げて、逃げて
助けて、助けて、助けて
どうして?どうして?どうしてなの?
ドウシテ?私達ハ悪クナイノニ!!
「あっ、あっ、・・・私は・・・。」
「神から、モノノ怪に成り下がった貴女。悲しみは・・・誰も近づけぬ、吹雪に。」
「私が・・・私が。」
「貴女が・・・。」
「「兄を殺した。」」
「モノノ怪は斬らねばならぬ。」
嗚呼、私は・・・。
何時の間にか、眼の前にはあの薬売りの男ではなく褐色の肌を持つ男がいた。
「私は、ずっと大切ななにかを忘れていた。」
人を愛する心を。
「それを思い出せてくれたのは、貴方。」
だから心からの
「ありがとう。」
を。最後に。
「
出
会
い
と
は
、
悲
し
き
も
の
」
「薬売り・・・私は貴方のことが。」「・・・私は貴女のことが。」「「好きになっていました。」」
久しく書いてなかった。意味不明。
0324:紫想奈穂
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