お星さまみたい。
きらきら、きらきら。
甘い、甘い。
「 金ぺい糖 」
「おかえりなさい。」
帰ってきた薬売りに声を掛ければ。
「ただいま。」
と返ってくる。
いつもは、一緒に帰ってくるからこんなやり取りはなくて。
なんだか、くすぐったい。
「なにを、笑って いるんだ?」
そんな私を不思議に思ったのだろう。
薬売りにそう言われた。
「べっつにー?」
にこり笑ってそう言えば、「はあ。」とまたも不思議そうな声が戻ってきた。
それがなんか面白くて・・・。
次は、声を出して笑ってしまった。
「そういえば・・・。」
ちょうど私の笑いが治まった頃、薬売りが思い出した様に薬箱のある引き出しを開けた。
「・・・手を。」
「手?」
なんだろう?って、期待と。
薬売りの事だから、きっと変なものに違いない!、っていう不安が。
・・・交錯して。
おずおずと手を出す。
そして手に置かれたのは。
「きれい・・・。」
ちっちゃな小瓶に入ったきらきらな粒。
―――何、これ?
そんな目で薬売りを見つめたら、にこりと笑って言った。
「口を・・・。」
言われるがままに口を開けば。
薬売りの冷たい指先と硬いものが唇に触れる。
そして口の中に小さな感触。
かりっと噛んでみれば、口内に広がる甘い味。
「美味しい!」
「金ぺい糖と・・・いう。砂糖菓子 だ。」
どうやらお客さんから貰ったものらしい。
「甘くて美味しい。」
なんだか自然に口元が軽く弧を描く。
きらきらで甘くて・・・。
まるでそれは・・・恋心みたいで。
「もう一つ食べていい?」
「ああ。」
やっぱり甘い。美味しくて素敵な味。
「俺にも・・・くれるか?」
「ん、どうぞ?」
小瓶を差し出せば。
「いや、こっちでは・・・なくて、ね。」
「え?」
唇に触れる柔らかな感触。
「・・・甘い。」
唇が離れると薬売りはそう呟いた。
「
金
ぺ
い
糖
」
(うん、甘いね。)(金ぺい糖だからじゃなくて!)(貴方が接吻と一緒にくれたから。)
あー、金ぺい糖より甘い!
0411:紫想 奈穂
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