「 白黒はっきり付けましょう! 」














































ざざん、ざざんと海は穏やかな波の音をたてる。


ほんの数刻前まで物の怪の事件が起こっていたとは到底思えない程穏やかだ。


「はぁ、まったく・・・人間って愚かよね。」


先程までの出来事を思い出しながらは呟いた。


「それでも・・・愚かだからこそ人間なのかもしれない。」


今、は一人で船の甲板にいた。


海風がさらさらと黒い髪を攫い揺れる。


日の光が海に反射してきらきらと光る。


それを眩しそうに目を細めながら微笑みながら見つめた。





そんなを後ろから見つめる怪しい影が四つ。


「ちょっと!押さないで下さいよ!」


「むむ、何を言う!私は押してなどいない!」


「・・・邪魔 ですね。」


「そういう奴が・・・一番・・・邪魔。」


その影とは・・・上から、加世・幻殃斉・薬売り・兵衛の4人だ。


「まったく!私は大親友なの!だから私が江戸に付いたら一緒に買い物したり遊んだりするんだから!」


加世は、腰に手を当てそう言い放った。


「何を言う!殿は私とまずお茶をし愛を語らいながら歩きながら最後には・・・!」


「はいはい、長い妄想は 勝手にやってて・・・下さい。」


そんな幻殃斉をげしっと一発足蹴にして後ろに吹っ飛ばす薬売り。


は 私と一緒に・・・いれば いいんですよ。」


「否、某と・・・。」


ばちばちばちと見えない火花が今飛び散っている。


「もう!こんなんじゃ埒が明かないわ!ここは白黒はっきり付けましょう!!」


加世はこう提案した。


一人一人を誘い、その誘いを受けて貰った者の勝利。


「ほういいではないか!」


「そう・・・ですね。ここは はっきり しておた方がいい。」


「・・・相解った。」


こうして四人の壮絶なる?戦いの火蓋が切って落とされた。




















っ!」


ひょこっと出てきて、にっこりと笑いながら加世はの名前を呼んだ。


「加世ちゃん?どうしたの?」


「ねぇ、江戸に着いたら一緒に買い物したり遊んだりしない?」


「いいね!・・・でも。」


笑顔で同意するが、その表情は直ぐに曇った。


「どうかしたの?」


「・・・薬売りさんが、ね。」


のその言葉に加世は


「あんな変態薬売りさんなんて気にしなくていいのよ!!」


「変態・・・。確かにね。」


「でっしょー?」


の言葉を聞いた薬売りは、地味に傷ついた。


「ねっ?だからぁー」


「「「はい、終了ー。」」」


そこに三人の邪魔が入る。


「ちょっとー!!まだ返事聞いてない!!!」


「時間・・・ですよ。」


「そんなぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」


「さて次は・・・私だな。」


幻殃斉が胸を張っての元へ向かった言った。















「んん、風が気持ちいいな。」


「そう・・・ですね?」


急に現れた幻殃斉には、不思議そうな目を向けた。


「もうすぐ江戸に着くな。」


「そう・・・ですね?」


じーっと不思議そうに幻殃斉を見る


そんなに幻殃斉は


―――そそそそ、そんなに見つめてくるとは!!


別には、幻殃斉を見つめている訳ではない。


不審に思って見ているだけだ。


まったく御目出度い頭である。


「江戸についたら・・・私と一緒に。」


「「「はい、終了ー。」」」


「えぇぇぇぇぇ?!まだ何も言ってないぞ!!」


「残念ですねー時間切れでぇす!!!!」


加世は、有無も言わせずずるずると後ろ襟を引っ掴んで引きずって行く。


「次は・・・。」















「・・・。」


「あれ、どうかしましたか?」


兵衛は何も言わずの隣に座った。


「えーと。」


「江戸についたら・・・どうするんだ?」


唐突に質問され一瞬は驚くと


「そうですね。まだ解りません。」


とにこりと笑って言った。


「佐々木様は・・・どうなさるんですか?」


「・・・某も、解らぬ。」


はその答えに「そうですか。」と優しく言った。


「なんだか・・・佐々木様って言い難いですね。」


にへらと気が抜けた様に笑うとそう言い、兵衛の隣に座る。


「他の呼び方でも良いですか?」


「っ。」


小首を傾げて下から覗き込む様にそう問う


「駄目・・・ですか?」


「別に・・・良い。」


兵衛の言葉には、ぱぁっと顔を明るくして笑った。


「なんだか良い雰囲気ですよ。」


「・・・気に食わん な。」


「くそぅ!どうしてあんな奴と・・・。」


こっそり覗いている三人。


「では・・・呼ばせて頂きますね。」


「ああ・・・。」


苗字が言い辛いなら名前で呼ばれるのだろう。


兵衛は柄にも無く胸をときめかせる。


さっちゃんと!」


「は・・・?」


「ずっと『さっちゃん』って呼びたかったんですよ!!」


「そう・・・か。」


「「「はい、終了ー。」」」


三人は、若干不憫に思いながらも兵衛を呼んだ。


「さっちゃん・・・さっちゃん・・・さっちゃん・・・さっちゃん・・・。」















。」


「あっ、薬売りさん。」


すっとの後ろに立ち、ぎゅっと抱き締める。


は別段驚いた様子もなく薬売りに声を掛ける。


すりすりと薬売りはに頬ずりをし、それがくすぐったいのかはくすくすと笑った。


「なぁに?」


「別に・・・なんでも ないさ。」


抱き締める薬売りの腕には手を重ね、薬売りを見上げにこりと笑う。


「今日は随分、甘えたさんだね。」


「たまには・・・いい ものだ。」


「まぁ、いつも私が薬売りさんに甘えちゃってるしね。」


完全に二人の世界。


それを面白く無さそうに三人は見つめる。


「ちょっとーくっつき過ぎじゃない?あれ!」


「あんなにもくっつきおって!!」


「・・・殺す。」


若干一名、危ない事を言っているがあえて残りの二人は無視した。


「江戸に 着いたら・・・こしょこしょこしょ。」


「えっ!?・・・嫌だよ。だって薬売りさんやめてって言ってもやめてくれないし。」


「そんな事 言って、気持ち良さそうな・・・声を 上げる。」


「うぇ?!そんな事ないよ。」


まったくもって妖しい会話だ。


「まぁ・・・薬売りさんだけだよ。私が一緒にいたいって思うのは。」


その言葉をは言った後。


恥ずかしかったのか、くるっと薬売りの方を向いて薬売りの胸に顔を埋めた。


そんなにくすりと笑い頭を撫で、影でこそこそ見ていた三人ににやりと笑う。


「私の・・・勝ちの様で。」


「へっ?」


「否・・・こっちの 話だ。」











この勝負、薬売りの圧倒的勝利。





























おまけ


「ねねねねねねねぇ!!!!!!!」


「はわ?!何?加世ちゃん?」


「さっき言ってた『嫌だって言ってもやめてくれない』って何?!」


「えっ?!聞いてたの?!」


「ねぇ何?!?!」


「あっ・・・あのね、足がよく凝るから揉んでもらうの。でもそれが痛気持ちよくてね・・・ついついやめてぇ!って」


「へっ?」


「だから、痛くなって嫌だって言うんだけど途中で絶対にやめてくれないの。」


「それだけ?」


「うん?・・・それだけだけど?」


その言葉を聞いた、加世・幻殃斉・兵衛の三人はほっと息を吐いた。
































  


「まったく・・・みんなどうしたの?」「別に・・・気にする 必要は ない」「んー?」


































あとがき


リクエスト第一弾!柏木オクラ様のリクエストで「海坊主メンバーで逆ハー・薬売り落ち」でした!


柏木オクラ様、ホントに申し訳御座いません!!!!!!


全然逆ハーになってませんね;;しかも甘々でもギャグでもない!(アイター)


こんな物で宜しければ、柏木オクラ様のみ煮るなり焼くなりして下さい;;


それでは。



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