よく毎日、毎日、同じ言葉を言えるわね?
 






































 
「 鬱陶しいくらい愛してる 」
 






































 
「どうしてあんたが、ここにいる訳?」


目の前の見るからに怪しい格好の男にそう言い放った。


その男とは薬売りの事なんだけど・・・。


この男、何故か私が向かう所向かう所全部にいやがる。


しかもその度・・・。


「そりゃあ・・・のことを、愛してる、からですよ。」


「・・・ばっかじゃないの?」


甘ったるい台詞を吐く。


会う度会う度、毎回毎回。


飽きもせずに好きだの愛してるだのと言う。


まったく・・・。


「鬱陶しい。」
 













 
「・・・で、どうして私の部屋にいるの?」


風呂に入り部屋に戻ると我が物顔で私の取った部屋で茶を啜っている薬売りの姿。


「同業者・・・なのですから、貴方のいる所に 俺がいるのは 普通、だと思いますよ。」


薬売りの言う事が正論なだけに何も文句を言えない私。


そう。薬売りと私は同業者。


といっても・・・私は物の怪を斬るのではない。


私は、怪を狩るのだ。


怪を狩るとは、言葉の通り。狩って使役にするかそのまま成仏させるか。


まぁ、細かい事は違うが大きく見れば 同業者 となる訳だ。


「で、何か分かったの?」


それとなく情報を聞き出してやろうと薬売りに質問する。


「いえ、まだ・・・なにも。」


「そう。」


なんだ、薬売りも知らないのか。


物の怪なら薬売りの仕事。怪なら私の仕事。


「今日は・・・どっちなんだろう。」


物の怪か・・・怪か・・・。


「あのさ。」


「はい。」


「何・・・当然って顔で私の事押し倒してるわけ?」


そう、気付いたら私の目には見えるはずのない天井と近すぎる薬売りの顔。


「いえ、男女の営みを・・・と。」


「ほう、今すぐあんたは私に狩られたいということか。」


かちゃりと帯刀を薬売りの首元に当てて言い放つ。


その時だ。


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


宿中に響き渡ったであろう程の大きな悲鳴。


素早く私と薬売りは立ち上がってその場に向かった。
 













 
その場に着くと小さな女の子が泣いていた。


・・・。」


「わかってるわよ。」


薬売りの言いたい事はわかってる。


女の子は人間じゃない。怪だって事。


そんなの見ればわかるわよ。まったく見くびらないで欲しいわ。


かちゃっと帯刀を構える。


「お姉ぇちゃん、たすけ、てっ。」


尚も泣き続ける怪。


「そんな演技、しなくてもいいから。」


冷たく言い放てばぴたりと動きを止めた。


「私に狩られる事・・・光栄に思いなさい?」


たんっと地面を軽く蹴って相手の目の前に降り立ち、帯刀を振るう。


手応え充分。


「あっけなかった・・・?!」


狩ったと思ったのに、そいつは向かってきた。


鋭く尖って伸びたそいつの爪が私を貫いた。


と思ったのに。


「くっ。」


「ちっ、邪魔が入ったか。」


そいつの言葉を聞いて向き直り、帯刀を投げ刺す。


もちろん脳天ど真ん中。


「どう、やら・・・倒せた ようです・・・ね。」


さっき傷付いたのは・・・薬売り?


苦しそうに声を漏らし、床に伏せる。


倒れる薬売りを冷静に見る私。


正直驚いた。


人間ってあまりにも衝撃的な事があると逆に冷静になってしまうのね。


なんて自己分析してみたり。


私を守って真っ赤に染まってぴくりとも動かない馬鹿な薬売り。


あれ?変だな。







ドウシテ私ハ泣イテルノ?







あんなに嫌いだったじゃない。


あんなに鬱陶しかったじゃない。


「何で・・・。」


嗚呼、これが愛なのか。


「あんたが傷付いてから気付くなんて、ほんとに大馬鹿者ね。」


ありったけの気持ちを込めてあんたに告げよう。


「好き、愛してる。だから起きなさい!!」


ぴくりと微かに動いた指先。


「っ!・・・薬売り?」


ゆっくりと薬売りの瞼が開く。


「っ、の 声が・・・届き、ました、よ。」


開口一番何を言うんだこの男は。


当たり前でしょ?


「私が言った一生一第の告白なんだから、届かない訳ないでしょ。」


ちょっと安心したと思ったのは、内緒。










  
(何であんな真似したの?)(愛してる女を 守るのは、男の 役目ですよ。)(っ!あっそう、嬉しくなんかないんだから!)
































































あとがき

短編ヒロインは、ツンデレが多い。

何故・・・?



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