「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


突如響き渡る、女の悲鳴・・・。


一体・・・何が起こったのだというのだろうか?


そこに現る、男と女。


これから・・・何かが始まる。
 






































 
『 宵月〜怪-ayakashi-化猫〜序の幕 』
 







































蝉の鳴き声が耳障りだ、とそう思いながら女


・・・と呼ぶにはまだ早く、少女・・・と呼ぶには女の部分が育った、


そう、女と少女の中間に居、またそれが無垢と妖美さを兼ね備えた者が大きな屋敷の門前に立っていた。


「―――」


その者は、何かブツブツと呟きながら屋敷を眺めている。


「おーい。お譲ちゃん、今日は姫様の輿入れだ。入っても追い出されちまうぜ?」


一人の男にそう言われたが、その言葉をまるで聞いていない様に中へと足を進めた。


一歩足を中へと進めるとピタリと止まり、何かを感じ取った。


「ふ〜ん・・・。」


そして、何かに感心した様に、また子供が新しい玩具を見つけたかの様に声を漏らす。


カランコロンと涼しげな音を響かせ、屋敷へ歩いて行った。




















「ちょっと加世!どれだけ手間取ってれば気が済むの!」


「はぁーいー今やりまーす!」


「まったく、今日をなんだと思ってるのかね?」


この屋敷の下働きだろう女が嫌味ったらしく呟いて、そのまま何処かへまた行ってしまった。


「べぇー!!私は、ちゃんとやってるっつーの!人手が少なすぎるのがいけないのよ!!」


「じゃあ、お手伝いしましょうか?」


いつの間にやら勝手口にさっきの者が立っていた。


「へっ?あらやだ、見られちゃった?」


「ふふ、大変そうだね。手伝うよ?」


にこりと笑う、その瞬間りん・・・と鈴が優しく鳴った様に思えるほど優しい笑み。


「っ・・・じゃあ、お願いしようかな?」


加世は、同じくにっこりと笑いそう言った。


「そう言えば、名前は?」


「私は、。貴女は?」


「私は、加世。よろしくね!」








その2人が、仲良くなるのは至極時間は掛からなかった。


「ほーんと、さとさんって嫌味な人よね!」


「そうかな?」


は、あんまり会ってないからだよ!」


「ふふっ。あ、お酒持ってこなきゃいけないんだよね?行ってくるね。」


パタパタと駆けて行く


それと入れ違いに、一人の男が入ってきた。


「あら?届け物?なにかあったっけ?」


「いやいや、私は薬売り。」


「あぁ!待って待って!今日はそんな暇ないの、だって!」


「御婚礼があるから・・・。」


「そうそう!真央様が塩野様のところに御輿入れになるの。まぁ、私達みたいな下働きには関係ないんだけどぉ。」


ふぅ・・・と溜息を吐く加世。


「それなら、余計 御都合ってこったぁ。」


「えっ?」


「それから、女を・・・見ませんでしたかい?」


「女・・・?」


そこに、が帰ってきた。


「加世ちゃん、これ何処に置けば・・・あ。」


「やっぱり、ここにいたか。」


若干、気まずそうに顔を歪ませる


「待っていろと・・・言ったはずだが。」


「だっ だって!遅すぎるんだもん!」


ぷくっと頬を膨らませ、そう言うは年よりも幼く見え、それがまた可愛らしく見えたのだろう。


「くすくす、二人はお知り合いなの?」


「えぇ・・・つれですよ。」


「むぅ、加世ちゃん笑うなんてひどいよー。」


そんなの頭を優しく撫でる薬売り。


「ふふ、そう言えばさっき言ってた薬って?」


また始まった。


は、内心そう思い加世がどの様な反応を見せるか楽しみだった。


「花嫁さんに、ぴったりの薬・・・コショコショコショ」


「・・・いやっだもう!でも見せてぇ!えへへっうふふっ!!」


加世は、顔を少し赤くさせるが楽しそうに薬売りの話を聞く。


その様子をまた楽しそうに見る


そして、薬売りも反応の良い加世に嬉しそうだ。


「誰だお前らは!!」


その時、突如男の大声が聞こえた。


「お前ら如きが足を踏み入れて良い場所じゃないんだよ!!・・・お?」


男の目にが留まる、男は、惚けた様にを見つめ


「お前・・・名前は?」


猫撫で声でそう問うた。


と申します。」


にこりと笑い、そう言った。


「ほぅ〜かぁ。」


の手を取り、自分の頬へ摺り寄せ様とする。


さすがに、その行動にはも眉を顰めた。


すると薬売りの男にそれを阻むようにと男の間へと割って入る。


「なっなんだ!さっさと帰れ!な、加世ぉ?」


「お水なら勝手にどうぞーっ。」


加世の冷たい言葉に、口を濁らせる。


「は・や・く!戻らないとまた勝山様に怒られるわよ!!」


男は、悔しそうに顔を歪め水をガブガブと飲み、


「さっさと出ていかねぇと叩き出すぞ!!たくっ・・・。」


と捨て台詞を吐き捨て出て行った。


「・・・いやらしいんだから、大っ嫌い!!、大丈夫?」


睨みを効かせそう呟き、心配そうにを見た。


「うん、助けてもらったから大丈夫。」


「まったく・・・は、鈍い。」


「ですよねぇ、私もそう思います!」


「ほぅ、気が・・・合いますねぇ。」


「そうですね!」


一人は、訳も分からないといった感じ首を傾げた。


「そうそう、それよりぃ〜」


「はいはい、ちょっとお待ちを。」


スッと引き出しを開けて、中から薬を出していく。


その薬を見たは、「うわっ・・・。」っと声を漏らす。


「どうしたの?」


「いや・・・その・・・。」


その様子を見た、薬売りは、不敵に笑い


「そうだ・・・また試してあげますよ。」


その言葉にビクリと大きく身体を跳ね上がらせる。


「だっだめだめだめだめ!!それにまだ仕事が残ってるじゃない!」


「ふむ・・・じゃあ、今は諦めましょう。」


ほうっと胸を撫で下ろすだが


「今は・・・ね。」


という薬売りの言葉にまたしても身体を強張らせるのだった。


「ねぇねぇ!いっぱいあるわね!」


「そうそう、これが・・・コショコショコショ」


「きゃあーいっや〜ん!」


二人で盛り上がっているが、は恨めし気に薬売りを睨んでいた。


「真央様に売りつけるといいかもぉー!」


「なんで?」


「あのね・・・お相手の塩野様は・・・コショコショコショ・・・ねぇ?」


と薬売りの耳元で言う。


「あらら。」


「それは、お嫁さんが気の毒だ。」


「でもね、仕方ないのよ。御家の借金を肩代わりしてくれるそうだから。」


その言葉に、と薬売りは納得した様に言う。


「「なるほどねぇ。」」


「そうそう!ご主人の伊顕様は良い人なんだけどね、あまり遣り繰りが上手じゃないのよねぇ。」


「へぇ。」


が面白そうに呟いた。


「水江様に頭抑えられてるみたいだしぃ?伊國様は伊國様でああだしぃ、どうして弟の伊顕様がお家を継いだと思う?」


「なるほどねぇ。」


次は、薬売りが面白そうに言う。


「あっ、こんな事話してるとまたさとさんに怒られちゃう。」


「まま、お返しに良い物をご覧に入れましょう。」


「えぇ?!」


加世は、嬉しそうだ。


はというと、薬売りが手を掛けた引き出しの場所を見て眉を顰めた。


その時、鼠が足元を駆け抜けて行った。


「きゃぁ!」


「ただの鼠ですよ。」


「はぁ・・・びっくりしたぁ!」


「ふふ、加世ちゃん可愛い。」


そんな加世を見て、楽しそうに言う。


!笑わないでよ〜。」


「ごめんごめん。」


そう謝りながらもは、くすくすと笑っている。


「そういえば・・・鼠 捕りが。」


「多いのよ、ここ。」


「猫・・・。」


が呟く。


「へ?」


「猫を 飼えば いいじゃないですか?」


「猫?そうなんだけどねぇ・・・嫌いな人が居るからってぇ。」


その時、突然


「加世!弥平に聞いて来てみたら、こんな所で油売ってるなんて!」


そこに


「鼠捕りの薬をお勧めしていたところで・・・。」


「結構よ!」


さとは、間髪言わせず断る・・・が


「お騒がせしてすいませんね。すぐ 出て行き ますんで・・・。」


薬売りが顔を上げると、さとは、顔を赤くした。


「よっ、色男。」


が小さな声で面白がってそう言ったが、その言葉は薬売りに聞こえていたらしく。


「あとで・・・仕置きが必要のようだな・・・。」


と。は、顔を青くさせたまま固まった。


そして、薬売りの邪魔をしてはいけないと外に出、井戸を見つめる。


「・・・強い、死者の念が。」


がそれを読み取ろうとしたが、その刹那。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


突如響き渡る、女の悲鳴・・・。


一体・・・何が起こったのだというのだろうか?


「己!何処か!!曲者は!」


男が刀を抜こうとした瞬間、それは薬売りの手によって阻まれた。


「これは、曲者の仕事じゃない、しかも恐らく・・・それでは、切れん相手。」


「お前は、何者だ!何処から入った!」


「そんなの、門からに決まってるでしょ?」


 黙って いろ・・・。」


「はぁーい。」


は、不貞腐れながら言った。


「怪しい奴!」


「怪しいのは・・・そのとおり ですがね。このままじゃ いけませんぜ。奥にも 結界を貼らないと。」


に目配せをし、はこくりと肯くと瞬時に札を貼る。


「おい、もう死んでるんだろ?なら医者じゃなくて坊主じゃねぇのか?なっ、そうだろ?」


その場にそぐわぬ声一つ。


「そこの・・・お前、何を・・・知ってる。」


「まだ・・・何も。」


「まだ・・・かっ、こりゃあいい!それから、そこの娘、名をなんと申すのじゃ?」


と・・・申します。」


「ほぅ、か・・・くくくくっ。」


下から上へ舐め入る様な目で見てくる伊國。


その前に薬売り立ち、を守るように後ろへと行かせた。


そして、伊國の狂ったような笑い声と水江の発狂した泣き声だけがその場に響き渡った。
























□ 






















































あとがき


長いので、区切ります。

薬売りさん可愛くてかっこいいですよね〜(関係ないし)

さて次は?



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