もう悲しまなくていいからね。



























































『 宵月〜モノノ怪 座敷童子〜大詰め 』


























































「・・・。」


元の部屋だと思われる場所には、志乃と女将と徳次。そしてがいた。


「・・・しまった。くる。」


は、とんっと跳ぶと志乃の前に降りばっと扇子を開き構える。


目の前には、禍々しい赤黒い色の布が幾重にも絡まりいくつもぎょろりとした目が付いている。


「薬売りさん・・・さん・・・。」


志乃の声にやっと隣に薬売りがいた事に気付いた。


「いつの間に?!」


「無駄口を叩いてる 暇が あるなら・・・。」


「目の前のモノノ怪をどうにかしろ。でしょ?」


にやりと笑い見た。


「座敷を繋ぎ止められたものの。遊郭の時代に始末された者。赤子の思い。」


カチンっと退魔の剣が鳴く。


「後は、理。あと一つ。理が分かれば剣が抜ける。お前の願いは何だ。」


その時だ。


「やめてぇぇぇぇ!!!斬らないでぇぇぇぇ!!!」


志乃の悲痛な叫び。


「ややこ達に一体なんの罪があるの!?」


志乃が叫ぶなか、その声が聞こえているかの様に「おっかあ、おっかあ」と座敷童子の成れの果てが叫ぶ。


「こいつは物の怪。・・・貴女の腹を借りて出てくる気でいる。」


「皆この世で生きたいだけじゃないっ?!」


「駄目だ。・・・相容れん。」


薬売りの言葉には胸を締め付けられた。


過去に言われた言葉とまったく同じだったから。


―――物の怪と人は、存在する流れが違う。


―――それは、薬売りさんと初めて出会った時に思い知った。


―――でも・・・本当にそうなの?


「おいで・・・。」


志乃のその言葉ではっと気が付いた。


薬売りもその言葉に目を見開く。


「一緒に・・・生んであげる。」


目の前にいた禍々しい形の座敷童子はいなくなり、代わりに子供の形をした無数の座敷童子が志乃を一矢に見つめる。


「物の怪を・・・産み落とす気か・・・?」


志乃の言葉を聞いた途端、は驚きと共に愕然とした気持ちが襲ってきた。


―――私は、そんな事言えなかった。物の怪を受け入れる事なんて出来なかった。


「私の腹に宿ったものは、皆私のややこです。」


一歩一歩確実に座敷童子へと歩いていく。


そう、薬売りの静止の声も聞かずに。


「私は・・・私のややこを産む。」


志乃は、一度に微笑みかけると


「それだけ。」


ぱっと札を腹から剥がした。


その瞬間、血がどどどと流れ出す。


「どっどうして・・・?あっああああああ。」


ぴしり、ぴしりと達磨が割れる。


そして・・・カチンっと退魔の剣が鳴いた。


瞬時に、薬売りはもう一人の薬売りと変わる。


「ねぇ・・・。」


「何だ。」


は、もう一人の薬売りの着物の裾をひっぱり聞いた。


「座敷童子達・・・ちゃんと助けてあげれるよね・・・?」


「あの時も言った筈だ。・・・清め晴らす。」


の頭をがしがしと撫でる。


薬売りとはまた違った感触。


そして、座敷童子に向き直る。


「滅。」


座敷童子は、薬売りによって斬られた。















部屋から出る前に薬売りは、優しい手付きで壁を一撫でした。


「やっぱり・・・お母さんは強いね。」


「そう・・・だな。」


強かった雨の音は、今ではしとしとと降っているだけ。


この宿に最初に来た時よりも随分と顔色も・・・気持ちも良くなった


未だ降り止まぬ雨。


しかし、何れは止む雨。


次なる旅は・・・何処か。




































 



































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