『 宵月〜怪-ayakashi-化猫〜序の幕 』
 







































結局、薬売りとは縄で縛られ、拘束されてしまった。


「動くなよ。さっきみたいに、逃げ出したりしたら・・・」


「せめて・・・奥に札を貼らせて頂けませんか?」


「札ぁ?!」


バカにしたように、声を大きくする小田島。


「札も知らないんですか?」


それを嘲笑うかのように、茶々をいれる


・・・。」


「はーいー。」


そんなを無言の圧力で黙らせる。


「今ならまだ 結界を張っておけば間に合うかもしれない。」


「黙れ黙れ!そんな事言って逃げるつもりだろう!」


そんな様子を酒を飲みながら見ていた伊國は、徐に口を開くと厭らしい笑みを浮かべながら


「もっときつく縛ったらどうだ?そいつは、可笑しな体術を使うぜ?」


その言葉を聞き、さらにきつく縄を締め付ける小田島。


「くっ・・・腕が折れちまう。」


「そりゃあ良い、ざまぁみろ!」


そして、伊國は立ち上がると


「こっちの女は、わしが縛ってやろう。」


の後ろに回り、力いっぱい締め上げる。


「痛っ・・・。」


それに、顔を歪め声を一瞬出す。


「くくく、女の苦しむ顔は良いのぅ・・・。ほれ、泣いてみろ!」


「・・・。」


さらに、きつく締め上げるが、顔を歪めるだけで声を漏らさない


「・・・ふん、まぁ良い。」


そう言うとまた先程と同じ場所に戻り、酒を飲み始めた。


「荷物を調べたか?真央様は、毒にやられたかもしれん。おい!こいつの荷物は!」


その言葉に、伊國は「さっき斬られてるって言ってたぜ。」と内心呆れながら見ていた。


「こちらにあります!」


そこに、弥平が出てきた。


「開けろ!」


という言葉に、弥平は「へいっ」と短く返事をすると徐に引き出しを開け始めた。


一番下の引き出し。色取り取りかつ、様々な形をした薬がでてくる。


「なんの薬だ?」


「いろいろです、毒じゃあ ありませんよ。」


「いろいろか・・・。」


それを面白そうに、見る伊國。


は、「本当、いろいろ・・・よねぇ。」と意味有り気に呟く。


下から二番目の引き出し。


「何だこれは・・・?」


「子供の玩具ですよ。」


次に、その上の引き出し。


「おぉ!・・・これはこれは・・・。」


中から出てきたのは、何冊もの春画。


「変態・・・。」


ぼそりと、それでも薬売りだけには聞こえるようには、言った。


その言葉に、薬売りは、誤魔化す様に咳払いをした。


そして、一番上・・・。


「この箱は、なんだ?」


中からは、縦長の箱が一つ。


その様子を、と薬売りは、不敵な笑みを浮かべ見つめる。


「あぁー!!おいっ!この刀は、なんだ!!なんで薬売りが刀なんぞ持っている!」


キラキラと光り、札に包まれている刀が一本。


「斬るため・・・ですよ。」


その薬売りの言葉に、意外の全員がはっとする。


「何ぃ!!」


「モノノ怪を ね。斬るんです。」


「無礼者!この期に及んでまだそんな事を!何が物の怪だ!不吉な事を!!」


小田島は、声を荒げて反論する。


「何の細工だ?・・・これは。」


伊國は、刀を抜こうとするが抜けない。


その言葉に薬売りは「細工なんかじゃありませんよ。何の仕掛けもありません。」と一言。


次いで、小田島も抜こうとするが、やはり抜けない。


「お前なら、抜けるのか?」


「まだ 無理です。」


「また、まだか・・・。おい、女はどうだ?」


「私には、無理ですよ。」


「モノノ怪の“形”“真”“理”が揃わなければ抜けません。」


「面白い男だ。」


「心外ですね、つまらない人間ですよ。俺は。」


その言葉に小田島は、激怒し


「もう、勘弁ならん!!番所に突き出してやる!!」


「まぁ、待てそれはいかん。騒ぎになっては困る。」


「勝山様?!」


「これは、御家の一大事なのだ。」


その後、水江が悲鳴をあげ倒れる。


さとが心配そうに水江を呼び掛け、小田島は、弥平に医者を呼んでくるよう言う。


「弥平さんとやら。・・・外には出ない方が良い。」


「そうそう、結界が完全じゃないからねぇ・・・。」


結局、二人は忠告したのだが弥平は、出て行ってしまった。


そして、勝山と笹岡の言い争いが始まった頃、加世が遠慮がちに入ってきた。


「あの・・・明かりを・・・。」


その時、加世が心配そうな目でを見た。


なので、にこりと笑い声には出さず「大丈夫」と言う。


「加世、真央様の所にも明かりを・・・。」


「えっ・・・。」


「何?早く行きなさい!!」


「だって・・・亡骸が・・・。」


「だから何?!早く行きなさい!!」


加世は、普通の娘。やはり人の骸など怖いのだろう。その時


「私が一緒に行こう。」


と小田島が立ち上がった。


その時、の中で小田島の株が少しだけ上がった。


「近くに・・・いる。」


小田島と加世が奥の部屋に行ってから、少し経った時、が呟く。


その言葉に、薬売りは、何かを感じ取った様だ。


そして、伊國が


「おい。何か・・・聞こえなかったか?」


と言う。その言葉に皆が辺りを見回す。


「いえ・・・なにも。」


そう勝山が言った瞬間、猫の鳴き声が・・・。


ザッ


「何だ小田島・・・脅かすな。」


その時、小田島が襖を開け、奥の部屋から帰ってきた。


「どうか、なさいましたか?」


「なんでもない。」


カンカンカンカンと時を知らせる鐘がなる。


「・・・弥平は、まだか!」


そして、また勝山と笹岡の言い争いが始まる。


小田島は、歩いていると何か首に水のようなものが付いた。


それに、驚き立ち止まると、勝山に呼びかけられた。


「おい、小田島、何か見なかったか?」


「上、危ない・・・。」


は、薬売りの耳元でこそりと呟く。


それに気付いた薬売りは、一瞬にして小田島の前まで行くとゆっくりと足を上げ・・・。


「えっ?・・・はっ!!」


小田島を蹴り飛ばした。


そして、その瞬間上から


「いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」


「これは、下働きの・・・。」


肢体が在らぬ方向へ曲がり血を流し死んでいる弥平が落ちてきた。


「・・・来る。」


その言葉を合図に、薬売りとはいとも簡単に縄を解く。


「貴様あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


小田島が、刀を抜き薬売りに向かうが


リンッ


と鈴を鳴らし、薬売りに刀を向けられ止まる。


「邪魔立てするな。」


と一言。


そして、に目配せをし、無言で肯くと二人で大量の札を襖中に貼っていく。


「あともう一人は、何処に!!」


「奥の部屋にご隠居様と真央様が!!」


その言葉を聞いた薬売りとは、小田島の制止の声も聞かずスパンっと奥の襖を開ける。


「皆と一緒にいろ・・・。」


そして、部屋中に札を貼った刹那・・・。猫がガリガリと壁を引っかく音が木霊する。


その瞬間、札が赤くなった。


「大丈夫だ、奴は入ってこれない。」


そして、部屋が地震でもないのに大きく揺れだした。


皆、悲鳴をあげ叫ぶ。


「どういう仕掛けか知らないが!このカラクリ暴いてくれる。」


その中、小田島が襖を開けてしまった。そして、外で何かが走ってくる。


「おぉっ?!」


間一髪。が小田島の羽織を引っ張り倒し、薬売りが襖に札を貼った。


そして、もう一揺れした後「気配が・・・去ったね。」とが呟いた。


そして、札が元の真っ白い物に変わる。


「なんだアレは・・・。姿、形が良く分からんかったが・・・。」


その言葉に、眉を顰め


「言ったろ?モノノ怪の仕業だと、結界の外に出れば奴の餌食だと、この結界もそう長くは持たん。」


「このままだと・・・この人達の様に・・・なっちゃいますねぇ。」


薬売りの言葉に次いでが言う。


「モノノ怪は、斬らねばならん。しかし、退魔の剣を抜くには条件がある。」


「形と真と理を剣に示さないと・・・抜けない。」


「まずは・・・形。」


小田島の着物から動物の毛を取る。


「これは・・・化猫だ。」


その瞬間、退魔の剣がカチンっと歯を鳴らす。


「モノノ怪の形を為すのは、人の因果と縁。」


は、扇をバサッと開き


「よって・・・皆々様の真と理、お聞かせ願いたく候。」


薬売りによって、言葉を閉めた。



























































 




















あとがき


つっ疲れるー!!


とりあえず、序の幕終了!


化猫は、ホント好き。でも、長いよマヂで・・・。


何気にさんの出番少なげです。(ダメやん)


そして、やっぱり紫想が書くとキャラが変態チック。特に薬売りさん。


まぁ、あれっスよ。ドリーマーなお嬢様方なら大丈夫!(ヲイコラ)


でもやっぱ、薬売りさん大好きだ!!!!!!加世ちゃんも可愛くて好き!何気に小田島様好きです(えっ)


ふー次は、二の幕だぁー頑張れ私!




※気付いた方もいるかもしれませんが、紫想にしては、文章が長く漢字が多いんですよこの話。

やっぱり、怪の雰囲気を出したいんで☆★ホントどうでもいいですね。





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