猫・・・猫・・・。どうして、貴方は怒っているの?
『 宵月〜怪-ayakashi-化猫〜大詰め 』
「薬売りさんが・・・危ない。」
は、呟くと上へ戻ろうとした。
しかし・・・。
「!?・・・どういうつもりですか?」
ガシャンっと中央に檻が出来、は閉じ込められた。
「お前は、ここにいるといい。」
伊國の手によって。
小田島と加世は上に行ってしまい、を助けてくれそうな人は誰一人としていない。
「お前は美しい。死なすには惜しいのだよ。」
―――、お前は美しいな?
「お前の苦しむ顔が見たいのだよ。」
―――憎くてしている訳ではない。ただ・・・美しい顔が痛みに歪む様を見たいだけなのだ。
伊國とある人の姿がの中で重なった。
「っ・・・。」
その瞬間、言い知れぬ恐怖が全身を駆け巡り。
呼吸が上手く出来なくなり、ガクガクと身体が震えた。
「っ・・・助けて。」
―――朱の檻が昔、私を縛っていたものと重なる。
―――出てきたのに。もう大丈夫だと思っていたのに・・・。
―――薬売りさん・・・。助けて・・・。
そこで、の意識はぷつりと切れた。
さん。
―――珠生さん?
貴女に伝えたい事があります。
―――伝えたい・・・こと?
そうです。私の猫が化猫になってしまった真実を・・・。
ある冬の事です。私は、越し入れの途中で伊行様に攫われました。
そして、この部屋に閉じ込められました。
貴女なら分かるでしょう?私がどの様に扱われたか。
私は、もう死ぬつもりでした。
その時に、一匹の猫が現れたのです。
灰色の世界が色付きました。
そして私は、猫の為だけに生きました。
「猫。この子だけは大きくなって外の世界に出してあげたかった」から。
しかし私は度々、伊行様。伊國様に痛めつけられ。
ついに命が事切れてしまったのです。
その後、猫がどうなったか分かりません。
これが真実。
―――っ・・・酷い。
お願いします。猫を・・・猫を助けてあげて・・・。
―――珠生さん、任せて下さい。
「んっ・・・。」
の目が覚めた。
未だに周りは朱色の檻に囲まれている。
「おお、起きたか。」
「ここから出して下さい。」
「ふん、それは無理だな。」
「出してください。」
「だから、無理だと・・・。」
「出しなさい!!」
の物を言わせぬ声に、伊國がびくりとする。
そして、渋々ながらも檻を開放した。
は、薬売りのいる上へと向かう。
「薬売りさん!」
「・・・どうして、ここに。」
薬売りの様子を見ると大分辛そうだ。
「・・・薬売りさん、私も手伝う!」
そう言うとは、薬売りと同じ様に手を翳し化猫を食い止めようとする。
「っ・・・。」
「。」
「大丈夫!大丈夫だから・・・伊行様、早く真実を話して下さい。」
「何?」
「今までの話は、全て嘘でしょう?私は珠生さんから全てを聞きました。」
「珠生に?・・・何を、珠生は死んだのだ。」
「この・・・屋敷から、花嫁が・・・出て行くのが。許せなかったんだろうよ。」
伊行の言葉を援助するように伊國が言った。
「さても・・・女の恨みとは、止し難いことよ。」
「お前が言うのか!お前が!!」
その時、さとが叫んだ。
「お前だと?」
「私は言われて、やった、だけ!何も悪くないわ。悪くないのよ!!」
さとが叫んでいる間にも、薬売りもも二人とも限界が近づいていた。
薬売りの手からは、血管が破れ血が滴っている。
「なんでも言う事を聞くと思っているのよ!逆らえないのをいいことに!!酷い!酷い!酷い酷い!!」
化猫の力は、さらに増すばかりである。
そして遂にが吹き飛ばされてしまった。
「っあ!?」
加世と小田島は、さとと伊行を助け様としている。
「何が・・・足りない!!」
―――教えなきゃ。珠生さんが教えてくれた事を。
―――でも・・・身体に力が・・・っ。
「人のっ理と・・・モノノ怪の理は・・・違う・・・のか。」
そして薬売りも倒れてしまった。
「薬売りさんにっ・・・伝えなきゃっ・・・っ。」
渾身の力を込めて薬売りの傍まで行く。
「薬売り・・・さっ」
「頼む、頼む、頼む頼む頼むーーーーーーーーー!!!!」
小田島の声が聞こえた瞬間・・・。
リンっ
退魔の剣が抜けた。
「何とかしてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
「小田島様の・・・頼みとあっちゃあ。仕方あるまい。」
薬売りの言動に、はハッとした。
「真と理によって!・・・剣を、解き、放つ!!!」
「駄目・・・違う、違うの。」
の言葉は虚しくも薬売りに届かなかった。
退魔の剣は、一度光ったが・・・その光を止めた。
「何?!」
その瞬間、化猫は二つに分裂し札を潜り抜けた。
薬売りは、咄嗟に小田島と加世に札の結界を、を抱え込む様に守った。
そして、二人同時に化猫によって突き飛ばされた。
その時に流れてくる・・・真実。
「これ・・・は。お前が見せたのか。」
そして、取り込まれてしまった。
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あとがき
大詰めーーーーっ!!!
なんだか、薬売りさんとの絡みが少ない気が・・・。
気にしない気にしない!
次でたぶん、終了です!
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