珠生さん、絶対に猫は助けるからね。












































『 宵月〜怪-ayakashi-化猫〜大詰め 』











































不思議な空間の中を薬売りとは、漂っていた。


ふと、頭を優しく撫でられる感触がした。


二人は、目を覚ますとそこには・・・。


「珠生さん・・・?」


『よしよし、よしよし。猫、猫。いい子。」






























『帰して?』


『帰してだと?』


珠生は、苦しそうに呻き、それを伊行は満足そうに厭らしい笑みを浮かべ見つめている。


『私に指図とは、口の利き方を教えてやる。』


『この恩知らずが!』


何度も何度も伊行に蹴られ、恥辱を受ける。


『わかったな!わかったな!わかったな!』




「これは・・・過去?」


「最後まで 拝ませて頂く。」


退魔の剣は、なにかを吸い込み始めた。


そして、加世と小田島をこちらへと呼び込んだ。




が入れられていた朱色の檻の中には今、珠生がいた。


にゃーと猫の鳴き声が聞こえる。


『久しぶりに・・・入ってみれば、巣を 作り やがったか。』


かちゃりと刀が鳴る。


猫を一突き。辺りには猫の悲痛な鳴き声が響いた。


苦しむ猫を愉快そうに笑い見る。










『食べられないなら、もう・・・持ってこないよ。あんたを養うのも只じゃないんだからね。』


死んだ様に珠生は動かなかった。


さとが出て行き、扉が閉じると


『にゃあ。』


と猫の鳴き声が一つ。


『猫・・・。』


珠生は、立ち上がると鳴き声の聞こえた場所へと手を伸ばす。


確かにそこに、猫はいた。


その日から、珠生は自分の食事を全て猫へ食べさせた。


自分の代わりに、自分と違い猫を外へ出す為に。










ある日、伊國が訪れた。


『声を・・・たてるな。父上が最近、あんたを持て余している。・・・可哀想になぁ?』




余りにも酷い光景に、加世は泣き崩れ、小田島は目を逸らした。


、お前は・・・。」


「ううん、私は全てを見届ける義務がある。珠生さんと 珠生さんと約束したから。」


真っ直ぐに見つめるその瞳には、怒りと悲しみと決意の念が込められていた。










『伊國・・・。』


『ちっ父上?!違うのです!これは・・・。』




『このぉ・・・いつの間に。』


伊國は、珠生に色目を使われたと嘘を吐いたのだ。


珠生は、伊行にぼろぼろになるまで殴られ蹴られた。


『田舎物の・・・分際で!汚らわしい!!』


薬売りは、無意識の内にの手を握った。




『許さぬ許さぬ許さぬ許さぬ許さぬ!!』


『にゃあ!!』


猫が伊行の手を引っかいた。


『なんだぁこいつは!畜生の分際でぇぇぇぇ!!!!!』


猫・・・猫・・・お前は

お・逃・・げ・・・

お前は外の世界へ。猫・・・猫・・・お逃げ。可愛い可愛い・・・猫。

一人でやって行くんだよ。


さようなら・・・。










『後のことは・・・笹岡めに。お任せ下され。』


笹岡は、珠生をまるでごみの様に扱い井戸の中へ捨てた。




















「化猫よ。お前の真と理・・・。しかと 受け取った。」


カチンっと刻み良い音を退魔の剣はたてた。


「真と」

―――おまえを為したのは 人ではあるが


「理によって・・・。」

―――人の世にある物の怪は 斬らねばならぬ


「剣を・・・解き 放つ!」


退魔の剣を解き放つと、薬売りの顔の化粧と着物の柄が後ろに現れたもう一人の薬売りに移った。


もう一人の薬売りは、の額に口付けを一つ落とすと化猫に向き直った。


そして、鮮やかに戦いだす。


「お前の動きは、充分に見せてもらった。もう効かぬ、この地・この縁に捕らわれるな。」


「清め晴らさん、赦せ!」


光の剣が大きくなり、化猫を斬る。


「滅!」


雪のようにひらひらと散り逝く。


は、猫を抱え一粒の涙を流した。


「珠生さん、約束・・・守ったよ。」






























「こんな屋敷の中じゃあ、嫌なんじゃないかしら?」


「そんな事ないよ、きっと珠生さんの近くの方がいいと思うな。」


は、手を合わせ目を瞑った。


それに倣う様に加世と小田島を手を合わせ目を瞑った。


は、目を開けると薬売りのところまで行き。


「・・・なんだ。」


軽く薬売りを睨みながらガシッと手を掴んだ。


「怪我してたでしょ?無理するから・・・。」


そう言うとは、ちゅっと薬売りの掌に口付けをし


「これからは、無理しないでね?」


と言った。


「・・・ああ。」










「これから、どうするんだ?何処へ行く?」


「それは 俺に聞くことじゃなくて・・・。小田島様、あんたが一番考えなきゃいけないことじゃないのかい?」


「私・・・。実家に帰ろうと思います。もう、ここには居られません。」


「俺は〜・・・。」


「小田島様、急いで決めなくてもいいのですよ。誰も誰かを縛ったり命じたりは出来ないのですから。」




薬売りとは、門から出てきた。


もう、門を跨いでも違和感はない。


「おーい、薬売り。今日の輿入れは?一体どうなっちまったんだい?」


かたりと音がした。


二人が振り向くと・・・。


『こっちこっち、猫。おいで、猫。』


「さっきから、誰も出てきやしねぇ。」


さん、ありがとうございました。』


最後に聞こえた珠生の言葉。


は、その言葉に微笑み薬売りの手を握った。
































 













































あとがき



おおおおおおおおおお終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!


やっぱり化猫は、泣けるよぉぉぉ!!ええ話やぁ!


もう、何度見ても腐れジジィ(伊行)をぬっ殺したくて仕方ないです。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


次は、モノノ怪にいきますよーーーー!!!!!!


そして、何気にスーパー薬売りの短編が書きたくて仕方なかったりします。 笑


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