子供っていいよね。可愛いもん。
『 宵月〜モノノ怪 座敷童子〜第一幕 』
ザァザァと止め処無く雨は、降り続ける。
その中、薬売りの男とは一つの傘を差し大きく立派な宿屋の前で佇んでいた。
は、顔色が良くなく薬売りに凭れ掛かる様に立っている。
薬売りは、優しい手つきでの頭を一撫ですると宿屋へと歩を進めた。
ギィという鈍い音をたてて扉が一人でに開く。
番頭だと思われる男が不思議そうに扉へと目を向けた。
「薬売りさんよぉ。うちは間に合ってるぜぇ?そんな所に居られちゃぁ客が寄り付かねぇ。とっとと他当たってくんなぁ。」
番頭がそう告げる中、薬売りはぶつぶつと何かを呟く。
すると背中に背負っている薬箱の中の物がカタカタを音をたてた。
まるで、薬売りの呟きに答えるように・・・。
「いえいえ・・・。宿を・・・一晩 お願い したく。」
真っ直ぐと中にいる老齢の―女将だと思われる女性に言う。
「はぁ・・・あら。」
女は、顔を赤らめた。
「・・・。」
そんな中、いつもだったら軽口を叩くは、薬売りの袖の裾をぎゅっと握り締めたまま肯いていた。
「でもぉ・・・苦いんだろぉ?」
「そりゃあ、漢方ですから。」
薬売りは例の如く女将に薬を売っていた。
もちろん、薬売りなのだから当然なのだが・・・。
はというと、外にいた時よりは顔色は良い。
しかし、どこかまだ悪そうに部屋の隅に縮こまり膝を抱えてどこか遠くをぼーっと意味もなく眺めていた。
「ねぇ?他には?」
「女将さんが この宿を?」
がやがやとたくさんの人々の声が笑いが物音がしている。
「まぁ、ね。建物自体は私が娘時代からあるもんだよ?」
「宿にする前は・・・何だったんですかい?」
「どう・・・だったかねぇ?年のせいで忘れちまったよ。」
「・・・ん?」
薬売りは、下から聞こえる女の声での気配がその部屋に居ないことに気付いた。
「御免下さい。」
ばさりと傘を落とし言う。
「一晩、お願い出来ませんか?」
女は布で頭と顔を隠し、その布は雨で水気を帯びぽたぽたと水滴が落ちる。
「ん〜すまないが、帳場は閉めちゃったんでね。他を当たってくれ。」
「明かりが付いていたのは、こちらだけなんです!」
「もう部屋も埋まってるんだよぉ。」
「お金ならあります!この土間だって構いません。」
番頭も女も両者とも引かない。
「お願いします!!」
「こんなに頼んでいるんですから、いいじゃないですか。」
急に現れた第三者の言葉に二人は声のした其方に顔を向けた。
そこにいたのは、他でもないだった。
「こんなに濡れて、寒いだろうに・・・。こんな雨の中外に放り出すなんてあまりにも酷というものではありませんか?」
「しかしだなぁ。」
番頭は、唸るように悩みだす。
そんな番頭を無視して、は女に近寄り自分の手巾で女の肩を拭いていく。
「ありがとう・・・。」
「いいえ。」
は、にこりと女に笑いかける。
女は、から番頭に視線を変えると言った。
「実は私・・・。追われてるんです!みっ見付かったらっっ命がありません!!」
「しゃあぁ!随分大きくでた・・・。」
女の言葉を信じていない番頭は、女が頭を隠していた布を外した事によって言葉を失った。
金の髪に青い瞳。女はこの国の者では無かったのだ。
「本当です・・。」
鋭い目付きで番頭にそう訴えかける。
「まぁこっちもぉ?あんたみたいに若くて・・・。」
番頭が四の五の言っている中、女は口を押さえ気分が悪そうだ。
「どうしたんですか?」
「臭い・・・。」
お腹を抱え座り込んでしまった女。
「もしかして・・・赤ちゃんが?」
「これ以上・・・雨に打たれたら・・・お腹のやや子も・・・流れてしまうっ・・・。」
悲痛な女の声には、女の背中を撫でながら「大丈夫です。大丈夫ですよ。」と何度も言った。
「お母さんがそんな事を言ったら、お腹の赤ちゃんが不安になってしまいますよ。」
優しくそうが説く中、男の無遠慮な声が宿屋に響く。
「うるさいなぁ。」とが内心、イラつきながらも女の背中を撫で続ける。
「あぁあぁ!まったく!!聞いてらんないねぇ!!」
そして、女将の不機嫌そうな声が聞こえた。
「女将ぃ」
「徳次!お前は何年番頭やってんだい!・・・申し訳ないが面倒に巻き込まれるのは御免だよ。」
その言葉に、と女は女将を睨む。
「さっさと出てっとくれ!」
「出て行ったら!・・・明日の朝にはっっ表の通りに・・私とっやや子の骸があります!そちらの方がご面倒じゃないですか?!」
「脅しには乗らないよ。」
「脅しなんかじゃ・・・ありませんっ!!」
必死な女の叫び。
「私、どうしても無事に生みたいんですっっ!!外にいたらやや子を守り切れないっ。」
「徳次。ちょいと。」
女将と徳次と呼ばれた番頭は、ひそひそと何かを話している。
そんな中ずっとは女を心配そうに背中を撫で続けた。
「えぇぇぇぇぇっ?!あの部屋ですかぃ?!」
急に大きな声をあげて驚くとくじ。
そんな二人をと女は心配そうに見つめる。
「仕方ないだろう。・・・私が案内するからお前は布団の用意を頼んだよ。」
その言葉に女は、顔を輝かせた。
「あっあの、ほんとに・・・ありがとうっございますっ。」
「良かったですね。」
「貴女も・・・ありがとう。」
「いいえ、私はと申します。これも何かの縁でしょう。もし宜しければお名前を伺っても?」
「私は、志乃です。本当にさん、ありがとう。」
「私は・・・何もしてませんよ。」
にこりと笑うと、は薬売りの元へ帰っていった。
「随分・・・お節介なものだな。」
「うっ・・・だってね、あの・・・志乃さんが困ってたから。」
薬売りの元へ帰ると、相当機嫌が悪い様だった。
「それに、何か
見えた
(
・・・
)
の。」
「ほう・・・。」
その言葉に、薬売りは感嘆の声を漏らした。
「あら、薬売りさん。どうなすった?」
「ちょっと・・・厠へ行くのに 迷っちまいやして。」
「えっ。」
その言葉に、一瞬顔を顰めた。
そんなを薬売りはじろりと睨むとは目線を斜め下に落として口元を押さえた。
「それなら、そこの階段を曲がってすぐだよ。」
女将がそう言っても動かない薬売りと。
「どうも。・・・この上も泊まれるんで?」
「滅相もない!只の物置だよ。・・・上がられちゃ困りますよ。」
「なるほど。」
そう薬売りは呟くと、すっと札をまた貼った。
「ああ、さっきの御代なんだけどね・・・。」
女将と薬売りが話している内には、すっと階段の上を見る。
「達磨・・・?」
の目には、何体かの達磨が見えていた。
「何で・・・こんな所に?」
「。」
ふいに薬売りに名を呼ばれ、は慌てて薬売りの後に続いて歩いて行った。
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あとがき
座敷童子きたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
これは、もう座敷童子が好きです。
最初見たときは、なにこのキモイの(酷)とか思ったんですけど。
なんですか、あれ、「何度も見てると可愛く見えてきちゃうマジック(長)」
家に一体欲しいわぁ〜(いらねぇ)
今回も、長くなってしまうので、本当は1話の話を2つに分けて書いていきます。
お付き合いのほど宜しくお願いします!
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