どんなことがあっても、守りたい存在って誰にでもあるもの。















































































『　宵月〜モノノ怪 座敷童子〜第一幕　』












































































ざぁざぁと降る雨は、未だ止まず。


「ねぇ、どうして私はまた(・・)組み敷かれているのでしょうか。」


「さぁてね。」


「さてねじゃねぇよ！！」


ごすっと薬売りの鳩尾に蹴りを一発。


さすがにそれには薬売りも苦しそうにの上から退いた。


「まったく・・・なんか、嫌な予感がするのに。」


「予感・・・か。」


「うん、こんな雨だしね。・・・嫌になっちゃうよ。」


そう言ったに薬売りは心配そうな顔をし抱き締める。


「思い出すな。」


「んっ。わかってるけど・・・。」


「さて・・・行くぞ。」


不安そうな表情のまま、は薬売りと共に向かった。あの部屋に・・・。










部屋に向かう。途中、貼っておいた札が全て赤くなっている事に気付いた。


「きた。」


その言葉を合図に二人は、すばやく志乃のいる部屋へと向かった。


すぱっと薬売りは襖を開けるとひらりと机の上に飛び乗る。


は、倒れている志乃に気付き急いで近寄る。


「志乃さん！志乃さん！！」


「なんの騒ぎだよ。まったく。」


その時、襖開く音と共に女将の声が聞こえた。


「うわぁぁぁぁ！！」


「これは・・・いったい。」


「どうしてここに？！」


徳次の叫び声と薬売りの関心した様な声と女将の驚いた声。


「あんたがやったのか？！」


上を見ながら恐れと驚きの声で薬売りに問うた。


「ふっまさか。・・・守ったのか？しかし、何故・・・。」


前半は徳次に。後半は自分自身に言った。


「ちょいと徳次！番所へ走ってきてくれ。」


「その必要は・・・ありませんぜ。」


「必要ない訳ないだろう？！呼ばれて困るのは下手人だけだい！やったのはあんたら・・・」


「この人達じゃないですっ！」


「志乃さん。」


志乃は、に身体を支えられながら起き上がり言った。


「私、見ました。下手人は・・・この人達じゃないです。」


「ほぉ・・・何を　見た？」


その言葉に、志乃は顔を強張らせた。


「巻かれて・・・浮き上がって・・・でも巻き付いてなくて。くる　くる　くる　くる。」


「ほぉ・・・。ぐる。」


「ぐる。」


「ぐる。」


「ぐる。・・・ね。」


は、興味深げに目を伏せる。


「薬売りにそこの娘。お前さん達一体何者だい。そもそも、どうしてこの部屋にいるんだい！」


「下手人は・・・人じゃあありません　ぜ。」


ぎぃぃと音をたて退魔の剣が入っている箱が開く。


「一人でに・・・開いた。」


志乃と女将、徳次が恐れと驚きの声をあげる。


は、ぱっと扇子を取り出し構える。


「斬りに・・・来たんですよ。」


その言葉に、以外の者が固まった。


「なっ・・・何を？！」


「ふっ・・・モノノ怪を　ね。」


「何かに巻かれた後があるね。」


「ふむ・・・。」


周りの者をまったく無視して二人は、上のモノを見つめる。


「戯けた事を抜かしてるんじゃないよ！！」


それに噛み付いたのは、女将。


「御覧なさい。この死体を。」


「こんな事人間に・・・。」


「出来るわけ！！」


「ないでしょう？」


その言葉に、女将は冷や汗を浮かべる。


「はっ、どうしてこれがここに？！」


女将の視線を辿ると、そこには黄色の達磨が一体。


「この達磨・・・私が見えた。」


の呟きに薬売りは、その達磨に一瞬見やる。


「どこでこれを・・・。」


「この部屋にあったんです。子供が取りに来て。」


「子供？！」


「何人も泊まっているでしょう？」


二人の会話に薬売りは、眉を顰めた。


「ほら、足音が聞こえる。」


耳を澄ますと、には聞こえたようだ。


「ほんとだ・・・。薬売りさんは　聞こえる？」


「いいや。」


志乃が上に視線をくれると・・・。


「あれ、死体が・・・。」


「消えた。」


その瞬間、一人でに全ての襖が閉まる。


そして、円を描くように札を構える薬売り。


「すぐ傍まで来ているぞ。」


それを、志乃を囲むように壁に貼る。


そして、全ての札が赤に染まった。


その瞬間、志乃の場所を除いた壁が赤くなったと思った途端。


札に阻まれた赤が、子供の悔しそうな声と共に引いていった。


「ここにいるのは・・・屋敷に繋ぎとめられた物の怪。」


「子供、赤子の声。」


「そして・・・羊水。こりゃあ、座敷童子だ。」


その薬売りとが言った瞬間、カチンっと剣が鳴いた。


「退魔の剣を抜くには条件がある。」


「“形”“真”“理”の三つが揃わなければ、剣は抜けません。」


「物の怪の形を為すのは人の因果と縁。」


「真とは、事の有り様。理とは心の有り様。」


代わる代わるそう言う、薬売りと。


「よって皆々様の　」


りんっと退魔の剣が鳴り、くるくるくるくると薬売りの手に収まる。


「真と理・・・。御聞かせ願いたく　候！！」


























































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あとがき



さて、前半しゅーりょー！！！！！！！！！！！！！！


つつつつ疲れた。


さてさて、次は後編だぁぁぁぁ！！！


何気にさん、薬売りのセクハラに慣れてきている気が・・・。（汗

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