さぁ。姿を現して頂戴。






























































『 宵月〜モノノ怪 座敷童子〜大詰め 』






















































「この宿屋には、何かが・・・ある。」


未だ降り止まぬばかりか更に雨脚を強めていく。


志乃は、自分の腹を撫でていると急に痛みが襲ってきた。


「痛っっ・・・。」


「大丈夫ですか?」


は、そんな志乃に近づき心配そうに覗き込む。


「身重の娘とこの屋敷。なにか思い当たる事が・・・ありませんか?」


薬売りは、女将に問うた。


その問いに、女将は答えず目線を外す。


「あの物の怪に殺された男。知っているのか?」


次は、志乃へと問う。


「・・・。あの男、直助と言います。殺し屋です。」


「何故?」


「私とお腹のややこを殺す為。」


徳次が驚いたように声を上げるがが鋭い目で見ると黙った。


「誰が?」


「大旦那様と奥様が。」


「どうして?」


「私と若旦那様の間で出来たややこだから。」


「許されぬ。」


「関係でした。・・・でも!一度はお許しになられたんです!!」


志乃は、きゅっと腹を抱え言う。


「まったく・・・。馬鹿な小娘だ。」


女将が呆れたように呟くのをは聞き逃さなかった。


「甘いねぇ・・・。」


志乃の必死な叫びもと薬売りの二人以外はまったく聞いていない。


ガンッと部屋が揺れる。


「あぁあ。もうごちゃごちゃと煩いねぇ。物の怪だろうと怪だろうと・・・この屋敷に何かあるっていうんなら。出て行けばいい話しじゃないか。」


すっと女将が襖を開けると、当然そこには廊下が・・・。


「えぇ?!」


当然ある筈の廊下はなく。そこには同じ作りの・・・否。同じ部屋があった。


「廊下は・・・どこに・・・ええぇぇぇぇ?!」


「厄介な事に・・・なっちゃったかもねぇ。」


は、口に人差し指を当てながらそう呟いた。


そしてまたガンッと部屋が揺れる。


「一体、どうなってるんだい?!」


そして、徳次がもう片方の襖を恐る恐る開けると


「ひえぇぇぇぇぇっ?!」


また同じ様に同じ部屋が続いていた。


そしてまたガンッと部屋が揺れたかと思うと・・・。


「座敷童子?!」


の目の前に座敷童子が現れた・・・かと思うと部屋が移動していく。


しかし、は移動していく部屋とは反対へと身体が進んでいった。


「なっ、なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!」


の叫びも虚しく、は一人ぽっちになってしまった。










「さて・・・一体どうしよか・・・。」


すとんっと座椅子に座り、別段焦った様な様子もなくそう呟いた。


「でも、何で私だけ一人になったのかな・・・?」


うんうん、と唸る様に考えていると一人・・・と表していいものか迷うが、一人の座敷童子がの前に居た。


「・・・座敷童子?」


「おっかあ!」


にこりと笑いの事をおっかあ。つまりお母さんと呼んだ座敷童子。


その言葉には、絶句した。


「おっかあって・・・私は、身籠ってないし!そりゃあ薬売りさんと一緒に居たらちょっと危なかった時は何度もあったけどねぇ。」


ふぅと一息吐くと言い放った。


「私はおっかあじゃない!」


「おっかあ!」


は、二度目の絶句をするのであった。


その間にひしっとの腹辺りに引っ付きえへへと笑う。


「なっなんだか可愛いんですけど・・・。」


何だかんだ言いながらも座敷童子の頭を撫でる。


「ねぇ、どうしてあなたはここに言うの?」


「・・・おっかあを探してるんだ。」


「お母さんを?」


「一度、折角おっかあを見つけたのに見失った。」


そう・・・。とは呟くと何かを考え込む様に黙り込んだ。


そして、座敷童子に言った。


「ねぇ・・・協力。してくれないかな?」


「協力?」


「うん、そしたらあなたのお母さんに会えるかも。」


「ほんとか?!」


「うん、だから・・・目を閉じて。」


座敷童子は素直に目を閉じた。


それを見届けるとは、優しい手付きで座敷童子の頭を撫でる。















―――ここは・・・昔の宿屋。


―――男と女。そうか、昔は女郎屋だったんだ。


―――身籠った女。その女の人達は・・・。っ?!



それは、惨い光景だった。


あの女将が身籠った女郎達の腹を裂き中の赤子の命を奪う。


そして、あの部屋の壁へと・・・どんどんどんどんどんどんどんどん。


赤子を・・・壁へと塗り込んだ。















すっと座敷童子から手を放したの目には透明で綺麗な涙が流れていた。


「酷い・・・酷すぎるよ。」


「どうして、泣いてるの?」


そんなに座敷童子は無邪気にそう聞いた。


「辛かったね、苦しかったね、きっと私が・・・助けてあげるから。」


そうが告げた途端、座敷童子は一層にこりと笑い一言残して消えた。


「ありがとう。」





そして、またガンッと部屋が揺れると


「戻って・・・来れた?」


あの部屋へと戻って来たのだった。












































































 


































































あとがき






さてさて、もうすぐ座敷童子編も終了ですYO!


次は、どうなることやら・・・。


原作沿いと言いつつも少しオリジナル入ったことは・・・。


気にしない、気にしない。←


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